AIによる広告クリエイティブ最適化は、いまマーケティング分野で注目度が高まっています。海外では、広告バリエーションを大量に生成し、顧客ごとに最適化したクリエイティブを配信する取り組みが加速しています。
本記事では、IBMがAdobe Fireflyを活用してエンゲージメントを26倍に高めた事例を紹介します。効率化にとどまらず広告効果の最大化につながった実践例から、他社が参考にできるポイントを整理します。
本記事のポイント
・IBMはAdobe Fireflyを活用し、広告画像の大量生成とパーソナライズを実現しました。
・AI生成クリエイティブを用いたキャンペーンで、従来比26倍のエンゲージメントを獲得しました。
・200枚超のアセットから1,000以上のバリエーションを生成し、A/Bテストの高速化にもつながりました。
・AIは効率化だけでなく、広告効果の最大化にも寄与できることがわかった事例です
その他のマーケティングでのAI活用事例を知りたい方は下記記事をご覧ください。
IBMのAI活用事例:広告制作の課題
IBMは世界規模で多様なマーケティング施策を展開しており、キャンペーンのたびにセグメントごとに異なる広告素材を迅速に用意する必要がありました。
一方で、従来型の制作プロセスでは制作量とスピードの両立が難しく、パーソナライズやA/Bテスト用のバリエーションを十分に揃えることが負担になっていました。
こうした背景から、同社は生成AIの活用に踏み出しました。
Adobe Fireflyを活用した広告制作フロー
IBMはAdobeと協業し、商用利用に対応しCreative Cloudと連携しやすい生成AI「Adobe Firefly」を制作フローに組み込みました。
実際の取り組みでは、テキストプロンプトから200枚超のアセットを生成し、1,000以上のマーケティングバリエーションを短時間で作成しました。従来であれば日〜週、場合によってはさらに長い期間を要した制作工程が短縮され、同時に多様なパターンを並行テストできる体制が整いました。
成果:広告エンゲージメントが26倍に
この取り組みにより、IBMは大きな成果を得ました。
- 従来比26倍のエンゲージメントを達成
- AI生成広告はCTRやインタラクション率で大幅に向上
- 制作部門のリソースを抑えながら、広告配信の成果を最大化
AI生成画像を活用したキャンペーンは、IBMの従来基準と比べてエンゲージメントが26倍に達したと報告されています。制作リソースを最適化しながら、成果そのものを大きく押し上げた点が注目に値します。
使用ツール
・Adobe Firefly(生成AI)
・Photoshop / Illustrator(Creative Cloud連携)
【Tips】他企業が学べるポイント
IBMの事例から学べるのは、AIが単なる効率化ツールにとどまらないということです。
AIは制作スピードだけでなく広告効果を高める
→ バリエーションを大量生成しA/Bテストに活用することで、成果最大化に
商用利用可能なAIを選ぶことが重要
→ 著作権や法的リスクのある領域では、安心して使えるAIが前提条件となる
人とAIの協働が最適解
→ AIが生成した素材を人間が取捨選択することで、ブランドに適した表現を担保
広告素材を大量に生成して短期間で検証できるようになると、パーソナライゼーションの幅が広がり、最適なクリエイティブを迅速に見つけ出せます。
また、商用利用に耐えうるAIを選ぶことは法務・ブランド観点でも必須です。さらに、人間がAIの出力を取捨選択し、ブランドの一貫性を担保するプロセスを組み込むことで、成果と品質を両立できる点も重要な学びといえるでしょう。
まとめ
IBMがAdobe Fireflyを活用した事例は、AIの力で広告効果を劇的に高められることを示しています。
- 200枚以上の画像生成から1,000を超えるバリエーションを展開
- 広告エンゲージメントは従来比26倍に向上
- 制作コストと工数を抑えつつ、効果検証を加速
日本企業にとっても、AIは単なるコスト削減の道具ではなく、広告効果を最大化する戦略的な武器になることを示唆する事例といえるでしょう。
その他の事例も知りたい方は下記記事をご覧ください。
参考記事:https://www.axios.com/2024/03/06/ibm-tests-adobes-firefly-for-personalized-marketing-at-scale